来年の春、小学生になるお子さんをお持ちのお父さん、お母さんの関心ごとといえば、ランドセルではないでしょうか。
最近は夏前から大手デパートや百貨店にランドセルコーナーが特設されていますし、実際「もう予約したよ!」なんて、声も聞こえてくると気が焦りますよね。
でも……。実際売り場を訪れてみると分かりますが、とにかく種類が多い!わたし自身、わが子のランドセルを見に行って、その品ぞろえに圧倒された一人です。
6年間使うものだから後悔したくないし、本当に気に入ったものを選びたいですよね。

そのために絶対外せないポイントが、ランドセルの「素材」ということを、ご存知ですか?
デザイン、カラー、価格、機能性などなど、実は素材が左右していると言っても過言ではないんです。
素材を制するものはランドセル選びを制す!ということで、今回はランドセルに使われている素材について、徹底解説しちゃいます!!
目次
ランドセルに使われている素材ってどんなもの?
これから6年間、かわいいわが子のお供をしてくれることになるランドセル。
素材はいったい何が使われているのでしょうか。

ランドセルに使われている素材は大きく分けて
- 人工皮革(クラリーノなど)
- 牛革(カウレザー)
- コードバン(馬革)
の3つです。
何やら聞きなれないものもありますね。それぞれの特徴や性質は、のちほど詳しくご説明しますが、まずはこちらのデータをご覧ください。
気になる!みんなが選んだランドセル素材はなに?
都市部や地方、学校ごとにその割合は変わってきますが、先輩小学生は、どんな素材のランドセルを使っているのか気になりますよね。
結果は御覧の通り、クラリーノ(人工皮革)が44.6%、牛革・馬革(天然皮革)が23.1%となりました。
どうやらこの数字に素材の特徴や、選ぶポイントが隠れているようです。
比較 | 価格帯 | 重さ | 丈夫さ | 耐水性 |
---|---|---|---|---|
人工皮革 | 3~5万円 | 1~1.3㎏ | 割と丈夫 | ◎ |
牛革 | 5~8万円 | 1.2~1.5㎏ | 丈夫 | 〇 |
コードバン | 9~10万円 | 1.2~1.5㎏ | かなり丈夫 | 〇 |

シェアNo1「クラリーノ(人工皮革)」
以前はランドセルといえば牛革でしたが、今では70~80%が人工皮革といわれています。その人工皮革の代表が(株)クラレが開発した「クラリーノ」です。
そのため、ランドセルの素材を調べていると時々「牛革に比べクラリーノは……」といった文章を見ることがありますが、『クラリーノ』という新しい素材があるのではなく、人工皮革の代表として使っていると思ってくださいね。
ではまず、この人工皮革から見ていきましょう。
人工皮革ってなに?
人工皮革とは、簡単に言えばズバリ「化学の力で、天然皮革っぽいもの、作りました!」ということです。
マイクファイバーの布地に合成樹脂を染みこませて固めたものや、その布地にさらに合成樹脂を塗って作られた皮革です。
よく耳にする「合成皮革」とはちょっと違うので、ご注意を。合成皮革は、天然の布地に合成樹皮を塗ったものです。

合成皮革
合成皮革は、天然素材の風合いを残す点はとても魅力的で、様々な場面で使われていますが、強度の面から考えるとランドセルには向いているとは言えません。

●人工皮革の特徴は?
人工皮革は天然皮革に比べて
- 雨に強い(耐水性がある)
- 傷に強い
- 人工的に作ることができるので、カラーや素材のバリエーションが豊富
という特徴があります。
毎年各メーカーさんから新色や新しい素材が出ているので、その年の流行がチェックできるのも、人工皮革ならではです。
●人工皮革のメリット・デメリット
購入者も多く、特徴も魅力的な人工皮革ですが、ランドセルの素材としてのメリット・デメリットはどんなところでしょうか。
1. 手入れが簡単
防水性に優れているので、雨や汚れもへっちゃら!
サササッと拭き取れちゃいます。
2. 型崩れしにくい
先ほどご紹介したように、人工皮革はマイクロファイバーでできた布地に合成樹脂をすき間なく染みこませて、さらにもう一度表面にも塗り付けた皮革。そのため型崩れしにくくなっています。また、折れやヨレに強いのも、この素材の魅力です。
3. カラーやデザインが豊富
「人工」という名の通り、まさに自由自在!職人さんの匠の技で、たくさんの色が生み出されているのも人工皮革ならでは。各メーカーさんが毎年出している新色は、まさに時代の最先端なので要チェック!最近はパールカラーやメタリックカラーも人気です。また、人工皮革は加工がしやすいので、デザインが豊富なのも大きな特徴となっています。
4. 使用感が出にくい
人工皮革は、傷や汚れに強いので、簡単なお手入れで、いつまでも新品のような見た目を維持できるのも、清潔感があって高ポイントです。
5. 軽い
人工皮革のランドセルは3種類の素材の中で一番軽いタイプになります。学校教材は学年が上がるにつれ、親も驚くほど多くなっていくもの。ランドセルそのものの重量もチェックしておきたいですね。
1. 耐久性では劣る
丁寧になめされた牛革やコードバンと比べると、布地の密度が低い人工皮革は弱いといわれています。しかし、ランドセルは6年間使うことを前提としているので、よほど乱暴に扱わない限り、途中で使えなくなるようなことはないと言えるでしょう。
2. 本革のような艶感や、触った感触に高級感はない
牛革やコードバンはそのしっとりとした艶や、触った時に吸い付くような感触が魅力的ですが、人工皮革で天然皮革の風合いを求めようとすると難しいのが現状です。
3. 使いこんでも味が出ない
牛革やコードバンなど、天然皮革の魅力と言えば使い込むほどに艶が増し、使う人になじんでいくというところですが、残念ながら人工皮革にはそれがありません。
しかし、言い換えればいつまでも新品のようなランドセルということになるので、メリットに感じる方もいるのではないでしょうか。
本物志向に根強い人気!牛革(カウレザー)
一昔前は「ランドセルと言えば牛革!」と言われていましたが、今では革の価格が高くなっていること、質の良い人工皮革が開発されたことなどにより、少数派になりつつあります。
牛革の最大の魅力は何といっても「高級感」と、「使えば使うほどに味わい深くなる」ところです。
先ほどの購入者アンケートでも、約3割の親子が選んでいますし、根強い人気があることは確かです。
そんな牛革についても、詳しく見ていきましょう。
●牛革ってなに?
牛革は読んだまま、牛の皮です。わたしたちが『革製品』として目にしたり、使ったりしている身近な素材ですよね。
牛革を製品として使うためには、前処理として表皮部分と毛、さらに皮膚の一番深い部分、皮下組織を取りのぞくことが必要です。
図で表してみました!
銀面層は、とても細かな繊維構造をしています。このきめの細やかさが、あの、牛革製品に触れた時の吸い付くような柔らかさなんですね。
コラーゲン層はたんぱく質の一種のコラーゲンが立体的に絡み合った組織なので、柔らかくも強度のある構造になっています。
牛の皮と言っても革の産地、牛の種類、加工の部位や加工の仕方によって、質感や
価格が大きく変わります。
●牛革の特徴は?
なんといっても、その高級感でしょう。革本来の持つ、滑らかな質感、使い込むほどに柔らかくなり内側からにじみ出るような艶。その質感から、大人でも「仕事の小物は牛革で統一している」という人も多いですよね。
長く使うランドセル向きの素材と言えそうです。
●牛革のメリット・デメリット
「高級感があって、使うほどに味が出るなら牛革で決まり」と言いたいところですが、やはり牛革にもメリット・デメリットがあります。
購入してから後悔しないよう、チェックしてみましょう。
1.高級感がある
牛革ならではの艶と、ぎゅっと詰まった革の質感は人工皮革には出せない天然皮革ならではの魅力です。卒業するころ、どんなランドセルになっているのかな」なんて想像しながら育てていく楽しみがあります。
2.使うほどに味が出る
先ほども紹介したように、牛革だけではなく天然皮革は使い込むほどに柔らかく、そして品のいい艶(輝き)が出てきます。深くなっていく色味は革だからこその味わいです。
3.使う人のからだになじむ
牛革などの天然皮革は使うほど柔らかくなる=お子様になじむと、いうことです。肩ベルトがしっかりフィットし、背中にぴったり吸い付く感じは天然皮革ならでは!
1.人工皮革に比べ高価
人工皮革が3万円~5万円台が相場と言われている中、牛革のランドセルは7万円台~と高価です。それはやはり、天然のもので限りがあるということ。
傷や凹みなどのない上級な革を使用すると、さらに高額になります。また、先ほどご紹介したように前処理が必要なので、その手間も価格が上がる要因です。
2.量産できない
天然の動物の革ということで、そもそも素材として限りがあるのに加えて、職人さんの手でなければ作れないランドセルもあり、量産が難しいのが難点です。
それがこのランドセルの魅力のひとつではありますが、人気店やデザインは秋ごろにはすでに売り切れ・受注終了などになっていることも。
牛革ランドセルを、と思っている場合はお早めに!
3. 水や汚れに弱い
牛革製品を使ったことがある方はご存知だと思いますが、水や汚れがつくと、シミになってしまいますよね。
防水・撥水加工技術が進み、昔に比べるとかなり強くなっていますが、それでも人工皮革と同じとはいきません。表面のコーティングを守るためにも、ランドセルカバーをかける、濡れたらふき取ることが大切です。
4. 手入れが大変なものもある
先ほどご紹介したように、濡れや汚れの対策のためのお手入れが牛革ランドセルでは必要になります。特に、牛側の風合いを全面に押し出しているクラシックなタイプは防水面がネックと言えます。
さらに艶や光沢感を出すためには、定期的な革専用の汚れ落としクリームでのお手入れや、栄養クリームを塗ることが欠かせません。
購入する際は、お手入れ方法を確認してみてくださいね。
ランドセルの王様、コードバン(馬革)
「コードバンなんてあるの?」ランドセルの素材を調べているときにはじめて知った、という方も多いのでは?わたしもその一人でした。
コードバンのランドセルが、どうして「王様」と呼ばれているのか、詳しく調べてみました!
●コードバンってなに?
コードバンとは、見出しにあるように馬の革、正確には馬のお尻の革になります。
このコードバン、1頭の馬からランドセルのフタ2枚分しか取れないと言われている、とても希少価値の高く、なんと1年以上前から予約しないと手に入らないんですよ。
●コードバンの特徴は?
何といってもその高級感!きめが細かくて、とってもなめらかでしっとりとしていて……。
まるで人間の美白談義みたいですが、本当に美肌!なんですよ。
その美しさと希少さから「キングオブレザー」「革のダイヤモンド」という別名を持つほど!
磨き、使い込んだコードバンの重厚感や光沢感は、ため息が出るほど美しくて、その名に恥じないまさに王様の風格です。
●コードバンのメリット・デメリット
1.高級感が半端ない
先ほどから何度も言っていますが、まだ言います!それくらい、コードバンだけが出せる光沢、重厚感、吸い付くような質感は他を寄せ付けません。
2.牛革の3倍強い!
コードバンの強度は、牛革の2~3倍の強度があるんです。そのためシミ、汚れ、傷もつきにくいので、長く使うものにはぴったりの素材と言えます。
3.育てる楽しさがある
コードバンはお手入れをすることで、その風合いが増す【育てる天然皮革】です。表面に吹き付けられているロウが、優しくさすることでだんだん皮になじんで、個性的な色味や風合いになるので、革好きにはたまらない素材です。
1.値段が高い
察しのよいあなたなら、もうお分かりですよね。そう、王様はお安くはないのです。希少価値ももちろんですが、コードバンを加工できるのは、超一流の職人さんのみ。
もちろん手作業で作られます。ランドセルのお値段も8万円~と、人工皮革の2倍以上になるものもあります。
2.早期完売または完全予約
その希少性と手作り品のため、量産が出来ません。お店に並ぶ数も圧倒的に少なく、またコードバンのランドセルを取り扱っているメーカーやお店のほとんどが、予約制をとっています。
中には1年以上前から予約しなくてはいけないものも!コードバンにしたいと思ったときには、もう売り切れている可能性もあるので注意が必要です。
3.耐水性が劣る
天然皮革である以上、やはり人工皮革のような防水効果はありません。雨の日はランドセルカバーをかけたり、濡れたらすぐに拭く必要のあるものも。お子様のタイプによっては、扱いが難しい素材と言えます。
4.手入れが必要なものもある
ランドセルということで、手入れの手間がかからないものも出て来ていますが、コードバンは磨くことでその重厚感が増す素材です。乾いた布で優しく磨く、汚れたらすぐに拭きとるなど、毎日の観察が必要になります。
素材ごとの人気ランドセルを厳選
人工皮革でおすすめランドセル
男の子用
フィットちゃん・・・「グッドボーイ」
シンプルなデザインですが、縁取りやステッチの色を変えることでオリジナリティのある仕上がりです。抜群のフィット感に加え、暗い場所で光る反射素材や容量に応じて位置を変えられる三段ロック、長時間背負っていても負担が少ない快適な背当てなど、フィットちゃんならではの子供にやさしい機能が盛りだくさんです。
女の子用
フィットちゃん・・・「あい・愛ティアラ」
女の子に人気のこちらのモデルは、その名の通りティアラやハートのデザインがそこかしこにあしらわれているデザインです。カラーバリエーションも豊富で高学年になっても使いやすく、刺繍や内装、背当て、引き手など細かい部分や見えない部分までおしゃれに仕上がっています。もちろん、軽さや丈夫さ、フィット感などの基本的な部分もしっかり作りこまれています。
牛革でおすすめランドセル
男の子用
萬勇鞄・・・「アーデルナイト」
牛革の高級感を生かしたシンプルなブラックに、シックなカラーのサイドテープやファスナーなどでアクセントを加えています。真鍮のネームプレートもシックで、ポケットチャームや鋲、内装にはエンブレムや剣、ユリの紋章などをあしらっています。手縫いでしっかり縫製されており、強度やしなやかさも十分です。
女の子用
羽倉・・・「耐性牛革スタンダード」
撥水加工を施した耐久性のある牛革を使用し、鮮やかな発色とシンプルなデザインで飽きずに使えるシリーズです。牛革なのに1270gと軽く、機能性も充実しています。ネームタグやステッチアートで自分だけのオリジナルを作ることもできます。
コードバンのおすすめランドセル
男の子用
モギカバン・・・「たくみ コードバン スタンダード」
最高の素材に小手先の装飾は不要とばかりに、定番のカラー、シンプルなデザインで勝負しているランドセルです。重さは1420gと抑えてありますので、新入生でも背負いやすいです。
女の子用
萬勇鞄・・・「クローネティアラ」
撥水加工を施したコードバンの高級感を生かした、ダークブラウンとルビーの落ち着いたカラーバリエーションです。派手すぎない程度にティアラのモチーフが使われていて、オリジナルのネームプレートも美しいです。
【3つの素材 まとめ】
いかがでしたか?
どの素材も魅力的ですが、失敗しないポイントは【お子様のタイプに合わせたランドセルを選ぶこと】につきます。
おさらいがてら、3つの素材の特徴を一覧にしてみました。
比較 | 価格帯 | 利用者数 | 高級感 | 耐久性 | 耐水性 | 軽さ | メリット | デメリット | こんな方に おすすめ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クラリーノ | 低~中 3万円台~ |
多 | △ | △ | ◎ | ◎ | ・手入れが簡単 ・型崩れしにくい ・カラーが豊富 ・使用感がでにくい (いつまでも新品のような見た目) |
・耐久性では劣る ・本革のような艶感、高級感はない ・使い込んでも味が出ない |
・お手頃な価格帯で探している方 ・一般的なものがいい方 ・軽さを重視している方 |
牛革 | 高 7万円台~ |
中 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ・耐久性に優れている ・見た目の艶感、手触りに高級感 ・使い込むことで味が出る |
・耐水性が悪く、手入れが面倒 ・若干重たい ・量産ができない (7月~9月)に売り切れる |
・高級感のあるものを探している方 ・使い込むことで味があるものがいい ・周りの子と違ったものがいい |
コードバン | 高 8万円台~ |
少 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 | ・手触りもよい!最上級の皮革 ・牛革よりさらに耐久性に優れて丈夫 ・牛革より高級感があり! ・使い込むことでフィットしてくる |
・値段が高い ・耐水性が悪く面倒 ・量産ができないため 早めに購入しなくてはいけない |
・最上級で丈夫なものがいい方 |
このように、ランドセルの素材は一概にどれがいいと言い切れるものではなく、それぞれの家庭で何を重視して選ぶのか、子供がどんなランドセルを気にいるかによっても異なってきます。
お外遊び大好き!雨にぬれてもへっちゃらなお子様なら、人工皮革が小学校生活の相棒になってくれるでしょうし、芸術肌で感性豊かなお子様なら手入れによって表情を変えていく天然皮革に心躍るかもしれません。
ランドセル選びの際はぜひ、素材についても検討材料にしてみてくださいね。